オーストラリアの給料未払いや違法賃金。5人に1人が被害者になっている

給料未払いって嫌ですよね。だれも経験したくないできごと。だけどビザのためにそれを喜んで受け入れる人もいます。そしてそれを利用する企業も。

Fair Workの監査官が発表したところによると、オーストラリアで働く2割の人たちが給料未払いや違法賃金で働いていると調査結果を公開しました。5人に1人が仕事の給料絡みでトラブルを抱えている計算です。

今回はオーストラリアで起きている給料未払い問題や違法賃金について書いていきます。

記事の最後には実際にあったジャパレスの給料未払いと最低賃金での労働で数千万のペナルティを受けた会社についても紹介します。

それでは今日もアツく語っていきましょう!

参考にした記事:Fair Work: One in five businesses busted for wage theft

宿泊施設、レストラン、小売店がメイン

調査ではクイーンズランド、ニュー・サウス・ウェールズ、ビクトリア州にある1,385の会社に対して行いました。その結果、賃金未払いや最低賃金以下で働らいていたおよそ1,000人に対して違法の会社は給料を支払うことに。罰金額も合わせるとなんとAUD 580,000ドル(日本円で43,778,400円)に達しました。*
*2019年6月6日のレートで計算(AUD 1ドル、75.48円)

主に調査した業界は宿泊(アコモデーション)、ホスピタリティ、小売業界(コンビニ店)。この3つの業界は2017年に給料からみの訴訟を起こした件数の4分の3も占めていました。フェアワークとしても注目していたのでしょう。

5人に1人が抱えている給料のトラブル

トラブルの内訳を見ていくと、ひどい内容です。

全体の22%が契約通りの給料を支払っていませんでした。15%は最低賃金以下の給料で働かせていました。また雇用関係ですらなかった状況もあります。おそらくキャッシュジョブなんでしょうね。

その他の6%は契約通りに給料を払っておらず、さらに最低賃金すら下回っている状態に。あまりにひどい会社もあるんだなと思います。

最低賃金を下回るとペナルティ

もし雇用者が最低賃金を支払っていない場合は罰金の対象です。これまでの労働時間をさかのぼり全ての給料を支払う+罰金。

罰金の金額は状況によって違いますが大体はAUD 600ドルからです。

ほとんどのケースは移民関係

またトラブルに合う4分の3の人たちが外国人労働者。かれらはビザのスポンサーを見つけるためにオーストラリアで生活をしなければなりません。そこにブラック企業がつけ込んで最低賃金以下で働かせているのです。

また、ビザのスポンサーになることを見返りにタダ働きといった問題も。このケースでは違法として報告すらされません。

このあたりの問題は移民国家ならではだと言えます。

実際にあったジャパレスの違法経営
ここではいくつか実際にあった事例を紹介したいと思います。

Tokyo Sushiの給料未払い

日本人が経営するジャパレス(Tokyo Sushi)が2016年に給料未払いがあったとして罰金が言い渡されました。その額なんとAUD $383,616ドル。ドルですよ?三千万円近くの罰金額です。

記事によると、問題のあった会社は3つで、Kiyoshi Hasegawaとそのご家族が経営していました。そこでは6カ月間の間に16人のアルバイトに対して最低賃金以下で働かせていました。

また別の15人は8カ月間も給料がまったく支払われていませんでした。

若い人が被害に

Tokyo Sushiで被害にあっていたのは17歳〜20歳の若者。若い人たちはオーストラリア事情のこともわからない人たちも多く狙われやすいので注意が必要です。

Masaki sushiの賃金未払い&キャッシュジョブ

別の記事では給料未払いと、キャッシュジョブ(違法労働)で働かせていたとしてMasaki SushiにペナルティのAUD $161,760が課せられました。(2018年)

被害にあったのはワーキングホリデービザと学生ビザの方たち。全員が若者です。

このケースでは会社だけでなくて会計士も不法労働を隠すために不正を隠蔽(いんぺい)していました。その会計士にもペナルティ、AUD $4,608がでています。

この判決では最低賃金が1時間あたり$16.67から$18.99ですが、罰として$23〜$47の支払いを命じられました。

Sumurais Paradiseで時給8ドル

ゴールドコーストでジャパレスを経営するShigeo Ishiyama氏は最低賃金を下回る時給8ドルで働かせていたとしてペナルティ AUD 284,000ドルが言い渡されました。

被害者のほとんどはワーキングホリデービザで渡豪した9人の日本人でした。さらにこの会社では不正を隠すための隠蔽もしていました。

参考記事:Gold Coast restaurant fined for underpaying workers

Fair Work Commission

日本の労働監査局にあたるものがオーストラリアではFair Work Commissionが担当しています。

英語ができなくても日本語の通訳者を利用できるので心配いりません。会社でお金からみのトラブルがあればFair Workを利用してください。

また、雇用者に対してもFair Workに通報すると一言言うだけで絶大な力を発揮します。会社にとってもFair Workに通報されるこは多額の罰金を支払うのみならず、それが原因で会社が潰れるかもしれないからもあります。

オーストラリアで弱い立場の外国人労働者に給料のトラブルは起こりやすいものです。

最近では仕事だけでなく違法な留学エージェントも注目をあびるようになってきました。同じように弱者に対してお金を搾取するような問題があります。

オーストラリアで安心して暮らしていくためにも下調べをして心得ておくことでトラブルの予防につながります。

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